日本菌学会菌類観察会・講習会 2008.10.16記

 鳥取県大山で行われた日本菌学会菌類観察会・講習会、通称「大山合宿」に参加してきました。菌学会とアマチュア研究会「幼菌の会」「菌類懇話会」の共催ということで全国各地のきのこの会に呼びかけ参加を募り総勢180名の規模となりました。

 私は、自分の撮影機材等持参し自家用車で余裕を持って行動したかったので、前日10月10日に現地に入ったのですが、成り行きで実行委員の準備、打ち合わせにも加わらせていただき、さらにオフィシャルの写真撮影班に任命されました。会期終了まですべてのイベントの記録撮影と標本撮影をすることになり大変やりがいのあるポジションを与えていただき充実した4日間となりました。

大山から周辺の蒜山高原にかけ、20弱の採集コースが用意されそれぞれの班に分かれて出発。大山周辺では最もモミの木が多いとされるコースを選択しましが、モミの木は数えられるほどしか無く、気温も長野と然程変わらず、すでに晩秋といった雰囲気で採取できたキノコは、アカアシボソチチタケ、ハタケシメジ、ドクベニタケ近縁種、クロノボリリュウ他、10種に満たない数でした。アカアシボソチチタケは初めて見たキノコでしたが大山では普通にみられる種だそうです。

 同定会場では、顕微鏡観察、標本撮影、乾燥標本作製、DNA採取、標本リスト入力、分離、電子顕微鏡のデモンストレーション等のコーナーが配置され、新しい分類体系にそって区切られたテーブルには所狭しとキノコが並べられ大盛況の様相です。最終同定をされる長沢先生、服部先生らが次々とキノコに名前をつけていきます。そんな中、 講演を聴いていたのにもかかわらず長沢先生を指して「あの方はどなた?」と聞いておられた方がいるという話を聞いたときはちょっとびっくりしました。

 並べられたキノコに名前と番号がつけられると、標本撮影班の出動です。500種類はあろう標本をひたすら撮影しました。普段目に入ってこないような珍しい菌をじっくり見ることができ、中でも印象に残ったのは、クワガタムシの死骸に発生したムシカビや、ツチグリの成れの果てに発生した盤菌の一種Gelatinipulvinella astraeicolaです。Gelatinipulvinella astraeicolaは一見、ツチグリの残骸にしか見えませんが、ルーペで拡大して見ると直径1mmにも満たない球状の菌がびっしりとついていました。

 標本撮影、乾燥標本作製の処理が終了したのは午前2時を回った頃でしたが、作業にあたったすべての皆さんが、全員真剣で菌類に対する熱意をひしひしと感じることができました。

アカアシボソチチタケ G. astraeicola ムシカビ
同定会場


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牛肝菌研究所 by yuichi taneyama










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