胞子の謎 その2

標本BTS-024A(fig1)の落下胞子と子実層托に残された胞子をさらに測定し両者の大きさの比較と、同一子実体の測定箇所を変えることによる算出値の違いを見てみました。

子実層托1  縦(11.9)13.0〜14.7(16.4)μm×横(4.3)4.6〜5.0(5.3)μm N100
子実層托2  縦(11.6)12.9〜14.4(15.9)μm×横(4.0)4.5〜5.0(5.7)μm N100

落 下 1  縦(11.0)11.7〜12.9(13.9)μm×横(4.2)4.4〜4.8(5.1)μm N100
落 下 2  縦(10.4)12.1〜13.3(14.4)μm×横(4.3)4.5〜4.8(5.1)μm N100
落 下 3  縦(11.8)12.7〜13.8(14.4)μm×横(3.9)4.4〜4.9(5.4)μm N50

やはり落下胞子の方が若干小さいという結果がでました。

胞子紋を採取する際、湿度を保ち胞子を放出しやすい環境を人為的に作り出していますが(いわば胞子の放出を促している)、成熟する一歩手前の子実体では完全に成熟していない胞子を放出することがあり得るのではないでしょうか。この標本Fig1は管孔が開ききっておらず成熟する一歩手前であると言えます。乾燥標本にするまでの数時間?(記憶が曖昧)の間に胞子が成熟し大きくなったのかもしれません。

また、毎回算出値が異なることからN100程度では十分なサンプル数でないと言えます。落下胞子測定の際はカバーグラスに落ちた胞子だけでなく別のエリアも、子実層托に残された胞子も切片を切り出す場所を変えて、少なくともN300程度で算出するのが望ましいのではないかという感触を得ました。

さらに十分に成熟した別の標本(fig2)で見てみると、ほぼ同じ数値が得られました。

子実層托 縦(11.0)11.7〜12.8(13.7)μm×横(4.0)4.3〜4.7(5.0)μm N100
落  下 縦(10.1)11.2〜12.6(13.4)μm×横(3.9)4.2〜4.5(4.7)μm  N100
(子実層托に残された胞子の測定に於いて、小さい物は未熟であると判断し除外したことによる影響があるのかわずかに落下胞子の方が小さい。)

事例が少ないため結論はでませんが、成熟する一歩手前の標本の場合、胞子測定の際に注意が必要であると言えそうです。

fig1 fig2


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