ムラサキヤマドリタケ胞子は偽アミロイドだった

先日の疑問「ムラサキヤマドリタケの胞子は何らかの原因で偽アミロイド反応を起こすことがあるのか」を検証してみました。

「3%KOH+メルツァー」「水+メルツァー」で15ほどの標本を検討した結果は、「3%KOH+メルツァー」でやや偽アミロイドとしてよさそうなのものがわずかに見られました。「水+メルツァー」では反応無しです。 最初に明らかな偽アミロイドを確認した際、カバーグラスの下はどのような状態であったのかを考えてみます。

以前「カバーグラスに採取した落下胞子を見るときは、まずドライマウントで見た後、カバーグラス左側からわずかに水を入れ水封で観察、つぎに反対側からKOHを入れ観察、最後にメルツァーを追加し、という順番でやっています」と書きましたが、水とKOHの状態を模式図にするとfig1のようになっています。中央付近でのKOH濃度は1%から2%であるはずです。1%から2%の濃度付近で偽アミロイドを確認したのかもしれません。(fig2)

そこで「ムラサキヤマドリタケ胞子の偽アミロイド反応はKOHの濃度に左右されるのでは」という仮説をたて、次の方法で検証しました。

  • スライドグラスの上で管孔切片を水1滴に浸す
  • そのすぐ横に3%KOH半滴を加える
  • カバーグラスをかける
マウント液は1%程度のKOHであると言えます。メルツァーを加え見てみると、やはり仮説の通り明らかな偽アミロイドを確認することができました。15ほどの標本すべてで同様に確認できています。

得られた結論は「ムラサキヤマドリタケ胞子は偽アミロイドであり、それを確認するためには濃度1%程度のKOHでアルカリ処理する必要がある」となりました。 (注:正確には非アミロイドと偽アミロイドが混在)

fig1 fig2 KOH+メルツァー
水+メルツァー 水+KOH+メルツァー


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牛肝菌研究所 by yuichi taneyama










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