海外の標本

海外の標本を検討する機会に恵まれました。科博の一室を借り、自前の機材すべてを持ち込み万全の体制で臨んだのです。検討したのは1965年の標本で、当時は乾燥標本作製に電球の熱を利用したと言われており、ある程度は想像していましたがカミソリが全く歯が立たないくらいカチカチに固い標本でした。しかし秘密兵器ホットプレートを持参したので、熱と水による柔軟化で事なきを得ました。

標本のラベルには胞子の大きさが記してあり、私の測定結果はそれと全く同じと言ってよい数値が得られました。今まで実践してきた測定方法が正しかったことが証明されたのです。また、その数値は統計処理を行っていないもので最小値から最大値のものでした。

この種の胞子の大きさは文献によって異なる数値が書かれています。具体的には以下の通りです。(長さのみの比較)

  • 文献A 9.5-14.0
  • 文献B 10.5-12.0
  • 文献C 10.0-13.0
  • 文献D 10.0-16.0

この数値をみて「なぜこれだけ差があるのか?」疑問に思っていました。今回の作業で得られた数値はおよそ(9.5)11.0-12.5(14.5)程度で、このことから文献BとCは「統計処理をしてある」または「小さいもの大きいものを除外した数値」である、文献AとDは「最小値から最大値」と考えられます。各文献が扱った標本を検討し統計処理をすれば、だいたい同じ数値が得られるのではないかと考えています。



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牛肝菌研究所 by yuichi taneyama










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