ニガイグチモドキ

Fig1-3は、昨年7月27日の「珍しいイグチ」において掲載したものです。その後ある方から「新種かも知れない」というご指摘をいただきました。

先日の信州きのこの会採集会に於いて、Fig1-3によく似たニガイグチが採集されました(Fig4-6)。一目で「例の新種?か」と思い、参加者の皆さんに「これは新種かも知れません」と説明してしまったのですが、標本を持ち帰り詳細を検討したところ「ニガイグチモドキである」と結論せざるを得ませんでした。同一林内で採集されたほかの子実体(Fig7,8)と比べて見ると色の濃淡以外の違いを見いだすことは出来ず、ニガイグチモドキの変異の範囲と思えます。

Fig1とFig4を比べてみると確かに似ていますが、前者は傘が深い緑色で周辺部がオリーブブラウン(Fig3)、柄表面は縦長の皺状(Fig2)に対し、後者は傘色がオリーブから紫褐色で(Fig5)、柄表面は縦長の皺状ではない(Fig1)という相違が認められます。「指摘」をいただいた方によると、前者の幼菌の孔口は紫色ではないということです。

とここまで書いたところで、面白い写真が出てきました(Fig9)。昨年撮影したものですが「ニガイグチは後回し」としていたので写真を撮ったことも忘れていました。傘の裏、孔口面の色に注目。紫色ではありません。やはりニガイグチモドキとは決定的に異なっています。今まで力を入れてきたのはBoletusのみでしたが、今後、それ以外のTylopilusなども詳しく調査していくことになりそうです。

Fig.1 Fig.2 Fig.3
Fig.4 Fig.5 Fig.6
Fig.7 Fig.8 Fig.9


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牛肝菌研究所 by yuichi taneyama










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