かさ表皮の切片

かさ表皮を観察する際には縦断面の切片を見るのが基本と思われますが、その切片の厚さは「薄ければよい」というわけではありません。薄い切片が有効なのはかさ表皮の菌糸構造が柵状になっている場合だけです(Fig.1)。

菌糸が三次元で絡み合った構造をしている種の場合、切片が薄すぎると菌糸の断面ばかり見えてしまうことになります(Fig.2)。こういったケースでは厚めの切片が有効です。Fig.3は厚さ100-150ミクロン程度で切り出し少しずつ押しつぶしていったものです。Fig.2と比べて菌糸がどのような構造になっているのか分かりやすくなっています。

この種はかさに鱗片状付着物をもっていますがFig.3では鱗片の菌糸がどうなっているのかがわかりません。そこで表皮をはぎ取るように切片をつくると、Fig.4-5のように明瞭に鱗片の菌糸を見ることが出来ます。さらに切片を押しつぶしながら丹念にバラしていけば、細切れになっていない菌糸の姿を見ることが出来ます。

Fig.1 Fig.2 Fig.3
Fig.4 Fig.5 Fig.6


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牛肝菌研究所 by yuichi taneyama










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