Incrusted Hyphae

Fig.1はXerocomus sp. の傘表皮を構成する菌糸末端細胞です。水封で見ています。細胞の外側の壁面に褐色の色素をもった物質が付着しています。Incrusted Hyphaeです。Fig.2は水封プレパラートにKOHを追加し、色素をもった物質が融解していく課程をとらえたものです。肉眼的には褐色の物質はオレンジ色に変化しながら溶けているように見えます。KOH追加後の菌糸を暗視野で見たのがFig.3です。菌糸表面は平滑であると見て取れます。

同じようにIncrusted Hyphaeであっても、KOHで融解しない種もあります。バライロウラベニイロガワリ(Fig.4)やモウセンアシベニイグチ(Fig.5)などがあります。

顕微鏡観察を始めたばかりの頃は、いきなりなんでもKOH封入で観察していたため、このようにIncrustした菌糸なのか、もともと平滑な菌糸なのかを確認していない標本もあります。たとえばモウセンアシベニイグチとそっくりなアシベニイグチについて「菌糸表面は平滑」と記録していますが、水封で見ればおそらくIncrusted Hyphaeであろうと考えられます。いずれ再検討をして確認しなくてはなりません。

Fig.1 Fig.2 Fig.3
Fig.4 Fig.5


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牛肝菌研究所 by yuichi taneyama










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