Xerocomusだった

今月上旬に行ったPCRで得られたサンプルの塩基配列データが届きました。まず確認するのはきれいな波形となっているか、それと気になるサンプルはこの時点でBLAST検索を行います。何気なくミヤマイロガワリBoletus sensibilisとしたサンプルの配列でBLAST検索を行ったところ、ヒットするのはなぜかXerocomusばかりです。早合点してしまうと「ミヤマイロガワリはXerocomusだったのか!」と大騒ぎすることになりますが、そんなはずはないのでどんな標本だったのかを検証します。

Fig1.が該当の標本で、採集日時は2010年7月10日となっています。肉眼的な特徴をざっとみただけでミヤマイロガワリとしておいたのですが、改めてFig.2を見てみると「ああ!やっぱりXerocomusだーっ!」と納得がいきました。Xerocomusの肉眼的な特徴に「柄の頂部には管孔の壁が長く垂生する」がありますがまさしくその通りです。孔口の形状と配列が不規則に乱れていることもXerocomusであることを示唆する形質のひとつです。その他には、ミヤマイロガワリには柄の頂部に網目が存在しますが、この標本にはありませんでした(Fig.3)。

2010年7月の時点では、ミヤマイロガワリの特徴とXerocomusがどのような菌なのかを把握できていなかったことが明らかとなりました。

Fig.1 Fig.2 Fig.3


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牛肝菌研究所 by yuichi taneyama










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