プレパラートの短期保存(一晩とか)

大型のイグチを検討する際には標本から数ミリを切り出してミクロトームにセットし切片を作りますが、観察が終わった時点で標本のかけらを破棄していました。再検討の際には、また標本から数ミリ切り出せばいいのですから。

ヨーロッパの菌学者は、標本の小さなかけらも大切に取っておくと聞いたことがあります。上述のように大型イグチばかり扱っている身にはいまいちピンと来ませんでしたが、ここ1年ほど、極小のMycenaなどを検討する機会が多くなってくると「小さなかけらも大切にする」必要を痛感することになったのです。

朝、プレパラートを作り検討していると、どうしても時間切れで途中でやめなくてはならないケースが多いのですが、その都度、せっかくのプレパラートを破棄するわけにいかない、というわけで短期間の保存方法を考えました。一般的にはラクトフェノールで封入して保存と言われていますが、菌類標本の場合、これはダメでした。どうダメなのかは改めて。

で、考えたのはFIg. 1の方法です。プレパラートが観察不能になるのは、封入液の水分が蒸発して無くなってしまうからなのですが、要は水分が蒸発しないようにすればいいだけです。食品用の密封可能なケースに、湿った脱脂綿などを敷き詰めその上にプレパラートを置き、ふたをするだけです。

これで中断せざるを得なかった作業を翌日に再開することができます。

Fig.1


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牛肝菌研究所 by yuichi taneyama










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