宮城フォーレ

恒例の日本菌学会菌類観察会が開催されました。今年は宮城県仙台です。長野ではとっくにイグチシーズンが終了しており仙台もほぼ長野と同じくらいと予想していましたが、やはりBoletusはほとんど見られませんでした。

私にとっての目玉は秋田県立大学の村口先生による講演で、ウシグソヒトヨタケの柄伸長および傘成長に関わる遺伝子の研究についてでした。どんな内容なのかを極簡単に書けば、ウシグソヒトヨタケに紫外線を照射し柄の発育に異常を起こした変異体をつくり、柄の伸張に関わる遺伝子は何なのかを探る、ということです。

生物の様々な細胞は、その細胞の性質や役割を決定する遺伝子が発現して成り立つことが知られています。イグチの見た目の変異の大きさは、ある遺伝子が発現する、しないといった現象や、発現のタイミングなどが関わっているのだと考えていますが、採集コースで一緒になった村口先生にそのことを質問することができました。何らかの外的要因がなければ、発現するはずの遺伝子が発現しないということは起こらないのではないかとのことでした。

ムラサキヤマドリタケには傘の色が紫色のもの、黄色のもの、両色が斑になったものがありますが、紫色の色素を作り出す遺伝子、黄色の色素を作り出す遺伝子を両方持っていて、片方が発現すれば紫色のかさとなり、その逆では黄色のかさとなり、両方発現すると紫と黄色の斑模様になる、なんて考えていますが、はて?この現象を引き起こす外的要因とは何なのだろうか?といったことが疑問として残ります。

Fig.1
村口先生の講演
Fig.2
唯一真剣に撮影したミヤマタマゴタケ白色型
Fig.3
ウスキニガイグチ、柄肉にKOHをつけた


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牛肝菌研究所 by yuichi taneyama










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