交流電源50Hz地域での顕微鏡撮影

先週末は菌類懇話会例会のため川崎にいたので長野での地震を体感しませんでした。幸いなことに我が家と事務所はほぼ被害ゼロでビーカーがひとつ割れただけで済みました。

さて「きのこ雑記」でレイマーの顕微鏡カメラによる縞模様のノイズが取り上げられていましたが、これは交流電源50Hz地域での特有な現象であると考えています。以前富山県でレイマーのテストをしたときにはこの現象は見られませんでした。

撮像素子であるCCDはTV技術を流用していると思われ、その走査は1秒に30フレーム(擬似的に60フレーム)と推測されます。50Hzの交流電源は1秒間に50回プラスとマイナスが入れ替わり瞬間的には電圧がゼロになります。つまり顕微鏡のランプは1秒間に50回点滅しているということです。CCDの走査は1秒に30フレームですから、50回点滅しているランプの明暗とはタイミングが合わずに、画像に明るい箇所と暗い箇所が縞模様として現れます(Fig.2)。

これを回避するためには電源を直流にすることがベストですが、顕微鏡を改造しようとする方は少ないのではないでしょうか。ということで何か対処方法はないのか川崎市青少年科学館の実習室にある機材で検証してみました。

テストしたのはニコンの実習用顕微鏡ALPHAPHOT YSです(Fig.1)。まずシャッタースピードに該当するコントロールを「オート」にします(Fig.3)。ランプの明るさによって任意にシャッタースピードが変化しますが正確な数値は表示されません。例えば0.013秒なんて細かい数値になっているかもしれません。「オート」で適当に画像を表示するとFig.2のように縞模様のノイズが発生します。

シャッタースピードを交流周波数50Hz(50分の1秒)の倍数である100分の1秒(0.010秒)にすると(Fig.5)、Fig.4のようにノイズは発生しませんでした。0.020秒や0.050秒といったように右端をゼロにしても同様でした。

関東地方にはレイマーまたは同等品の顕微鏡カメラをお使いの方がおられますが、参考になれば幸いです。

Fig.1 Fig.2 Fig.3
Fig.4 Fig.5


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牛肝菌研究所 by yuichi taneyama










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