ドクヤマドリがNeoboletus?

近年の分類学の進み方は速く、昨年と今年だけでイグチの新しい属が10以上提唱されています。その多くは中国の研究者の系統解析結果 Wu et al. (2014) に基づくもので、Neoboletusとは Vizzini et al. (2014) において提唱された属です。タイプとなる種は Boletus luridiformis で、オオウラベニイロガワリという和名があてられています。

さて、つい最近発表された論文 Wu et al. (2015) に於いて、ドクヤマドリ Boletus venenatus が Neoboletus として記載されています。ドクヤマドリの原記載 Nagasawa (1995) によれば、Singer の体系に従うとウラベニイロガワリ節に属するとされており、Vizzini et al. (2014) では従来ウラベニイロガワリ節に属していたいくつかの種が Neoboletus とされていますので、ドクヤマドリが Neoboletusというのは妥当なのかもしれません。

しかし、 Wu et al. (2015) でドクヤマドリとされた標本は中国産で、そのDNAデータは、手持ちの日本産ドクヤマドリのデータと完全に一致しているわけではありません。私のデータがおかしい可能性もありますが、いずれにしても追試を行う必要があると考えています。

引用文献
Vizzini A (2014) Index Fungorum 192: 1
Nagasawa E (1995) A new poisonous species of Boletus from Japan.Journal Reports of the Tottori Mycological Institute 33:1-6
Wu G, Feng B, Xu J, Zhu XT, Li YC, Zeng NK, Hosen MI, Yang ZL (2014) Molecular phylogenetic analyses redefine sevenmajor clades and reveal 22 new generic clades in the fungal family Boletaceae. Fungal Divers 69:93-115
Wu G, Zhao K, Li YC, Zeng NK, Feng B, Halling RE, Yang ZL (2015) Four new genera of the fungal family Boletaceae. Fungal Diversity in press.

Fig.1 Fig.2 Fig.3


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牛肝菌研究所 by yuichi taneyama










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