Stuffed poreを有するヤマドリタケ属菌において縁シスチジアの記載はどのようになされるべきか。

フィールドで沢山のヤマドリタケモドキやムラサキヤマドリタケを見ている方々ならば、ごく自然に、幼菌では孔口が完全にふさがっていて(fig.1)、少し大きくなったものは部分的に管孔の穴が見えて(fig.2)、十分に成熟したものは穴が全部見える(fig.3)と認識していると思います。

顕微鏡レベルではどのようなことになっているのか見てみましょう。まず、幼菌の完全に管孔がふさがっている状態がFig.4です。実質菌糸が散開して伸びている先端に縁シスチジアが密集しています。この段階では担子器も側シスチジアも未発達で胞子も見られません。

少し大きくなった子実体で部分的に縁シスチジアが脱落した状態がFig.5です。この時点でようやく発達した担子器と側シスチジアが見られます。まだ胞子の数は少ないですし未熟です。

子実体がさらに成熟すると、胞子を散布するために縁シスチジアは脱落し、孔口部分は実質菌糸がむき出しとなった状態になります(Fig.6)。

上記をふまえると縁シスチジアについての適切な記述は以下のようになります。

「未熟な子実体では散開した実質菌糸の先端に多数密集し孔口をふさぎ、円柱形からやや紡錘形、長さx幅、無色、成熟とともに脱落し子実層托実質がむきだしとなる。」

Fig.1 Fig.2 Fig.3
Fig.4 Fig.5 Fig.6


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牛肝菌研究所 by yuichi taneyama










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