ナツヤマドリとは

ツイッターにて「これってヤマドリタケ?ナツヤマドリ?」という投稿があり、それについて簡単な解説をしましたので、こちらにもアレンジして掲載します。

ナツヤマドリとは、長野県の「くさびらの会」の会長である小山昇平氏が「信州のキノコ(信濃毎日新聞社 1994)」で記述した和名で、学名にはヤマドリタケの変種である Boletus edulis var. clavipes と B. citrinus が適用されており「味も胞子の大きさもヤマドリタケと同じ」と記述されています。なぜ学名が2つ適用されているのかは謎です。

監修には本郷博士の名があるので、「ナツヤマドリ」の標本を提供し見解を得たと思われます。ちなみに、国内でヤマドリタケとされていたものはヤマドリタケモドキであるという見解が定着した当時、「いや、やはり日本にも Boletus edulis がある」と本郷博士に進言し、標本を提供したのは、くさびらの会の副会長であったそうです。

Index Fungorum によれば、過去に数多く記載されて来た Boletus edulis の亜種、変種、品種のほとんどが B. edulis のシノニムであるとされています。つまり、わずかな形態的変異をもって定義された種以下の taxon は、きのこの分類に関しては意味がないとされる傾向になってきたと考えられます。

現在 Index Fungorum に於いて、Boletus edulis var. clavipes と B. citrinus は、ともに B. edulis であるとされています。したがってナツヤマドリという和名は存在する意味がなくなってしまったと言えます。

ちなみにBoletus edulisの亜種変種品種のうち別のTaxonであるとされたものは次の通りで B. aereus, B. aurantioruber, B. separans, B. reticulatus, B. pinophilusなどです。



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牛肝菌研究所 by yuichi taneyama










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