Stipe tramaの色素は?

これまで柄の実質菌糸stipe tramaについては、菌糸の太さ、壁の厚さメルツァー試薬反応ていどしか見てきませんでしたが、もっと見るべきところがあるのではないかと思い始めています。

Fig.1はアイゾメクロイグチ類似種のstipe tramaですが、細胞壁の内側に螺旋状にこびりついた色素intraparietal pigmentが存在することが見て取れます。Fig.1と4では、細胞壁の内側が不規則に盛り上がっている様子を見ることができます。これは無染色の試料では見ることはできませんが(Fig.2)、コンゴーレッドで染め、照明にグリーンフィルター使うと、鮮明に観察することができます。

このアイゾメクロイグチ類似種は肉は純白ではなく、やや肌色ですので、その色を表している要因がintraparietal pigmentなのかもしれません。では、肉の色が黄色いニセアシベニイグチはどうなのかというと、intraparietal pigmentは認められませんでした(Fig.3)。さらには、肉がほぼ純白のススケヤマドリタケでは顕著に認められました(Fig.4)。

ということはintraparietal pigmentは、肉の色を決定づける要因ではないということになります。コンゴーレッドで染まるということは、色素がこびりついているのではなく細胞壁そのものが不規則に盛り上がっているのだと考えられます。intraparietal pigmenは、pigment (色素)と定義された用語ですが、実際は色素ではないといえるのかもしれません

Fig.1 Fig.2
Fig.4


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牛肝菌研究所 by yuichi taneyama










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