柄はきのこを持つための取っ手ではない

2015年最後の記事ということで大事なことを書きます。きのこの柄には重要な形質が満載されているということは、日頃から顕微鏡観察を熱心にやっておられる方ならば、よく承知していることだと思います。

しかし、菌学会や各地の採集会などにおいても、柄をつかんで持っている場面を度々目にしてきました。始める前にきちんとアナウンスすれば良いことなのですが、準備などの忙しさにまみれてつい、アナウンスするよう提案するのを忘れてしまいます。ということで、少しでもじわりじわりと広がるように本サイトでも定期的に取り上げようかなと思ってます。

他の分類群ではどうなのかよく分かりませんが、イグチの場合は、柄のシスチジアは頂部から基部ににかけて形状や大きさが少しずつ変化しており、詳細な記録のためには最低3箇所のシスチジアを観察します。以下に各種柄シスチジアの写真を掲載します。このように繊細で美しい組織が柄をつかむことによって破壊されてしまうのです。写真をご覧になって次のことを念頭に置いていただければと願います。「きのこの子実体には気軽にさわっていい箇所はありません。きのこの柄はきのこを持つための取っ手ではないのです。」

Fig.1 Fig.2 Fig.3
Fig.4 Fig.5 Fig.6
Fig.7 Fig.8 Fig.9


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牛肝菌研究所 by yuichi taneyama










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