引き延ばしレンズ

引き延ばしレンズとは、フィルムを投影して印画紙に写真を焼き付ける際に使われていたレンズです。高解像力で全域にわたって各収差が補正されているとのことです。ちょっと前にとある方から「引き延ばしレンズはいいぞお」とそそのかされた教えていただいたので、さっそく数本入手しました(Fig.1)。

これまでは普通の広角レンズを逆さまに使う方法(Fig.2)でやっていましたが、引き延ばしレンズを使う際のセッティングはFig.3の様になります。長い鏡筒の先に小さなレンズがちょこんとついてます。

以前と比較してどのくらい良くなるのかが気になるところなので、性能比べをしてみました。まず最初は対物ミクロメータを使ってのテストです(Fig.4)。撮影倍率は約4倍(幅6mmの被写体が幅24mmの撮像素子いっぱいに写る)です。Fig.5は対物ミクロメータの円の一部で左が広角レンズ、右が引き延ばしレンズです。その差は一目瞭然で広角レンズでは色収差が顕著に認められます。

FIg.6は珪藻プレパラートをテストに用いたものです。画像の中央付近を等倍切り出しにしたものです。解像力や色収差については両者にさほど差はないように見えます。ところが画像周辺部を比較すると(Fig.7)その差が明らかになります。Fig.8は放散虫のプレパラートで、ピント位置や照明、露出が微妙に異なっていますが、あまり差はないように見えます。

Fig.9はシリカゲルです。引き延ばしレンズで撮影し60枚程度の深度合成となっています。オリジナルサイズなんででかいです。

引き延ばしレンズは、めちゃめちゃ高解像力というわけではないが、各収差がよく補正されている点が優れているといったところでしょうか。倍率を変更すればまた違ったことが見えてきそうですが、泥沼にはまりこむ予感しかしないのでやめときます。

Fig.1 Fig.2 Fig.3
Fig.4 Fig.5 Fig.6
Fig.7 Fig.8 Fig.9


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