春の標本

東北の国から素晴らしい「標本」が届きました(Fig.1-4)。柄の頂部の網目の様子、中部から下部にかけての赤い粒点、基部のBasal tomentumなどきちんと作り込まれており、イグチを良く知っている方でなければ作れないものとなっています。さらには、Basal tomentumの部分を拡大してみると(Fig.5)、なんと菌糸が青変しています。これには恐れ入りました。※

このイグチはアメリカウラベニイロガワリで良いのか見解を求められましたので以下のように回答しました。

これがアメリカウラベニなのかというと幾つかの点が疑問視される。まず、柄の頂部に見られる網目については、細かく比較的明瞭で亜高山に産する類似種2つに見られる特徴に近いが、亜高山の2種はともに赤いかさを有し、網目の色は孔口と同一である。

柄の赤い粒点については、粒点が垂直方向に密集し明瞭な筋状の模様を構成しており、これは、亜高山に産する1種、それから「かわむけウラベニ」としているものと共通している。しかし、前者は赤いかさを有し、後者は平滑で粘性が有るかさを有する。

これまでに見いだされたアメリカウラベニイロガワリ類似種13種のどれにも該当せず、14番目の種ということになり、春に発生するので「ハルノウラベニイロガワリ」としたい。

大変素晴らしい出来映えですので、今後、レンズのテストチャートとしてなにかにつけて撮影することになるでしょう。ありがとうございました。

※ご本人にこのように伝えたところ「意図していなかった」とのことです。しかしまあ、めちゃめちゃリアルです。

Fig.1 Fig.2 Fig.3
Fig.4 Fig.5


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牛肝菌研究所 by yuichi taneyama










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