検鏡撮影時のシャッタースピード 追記

先のTIPSで「検鏡撮影は露出時間1秒で」という結論を書きましたが「露出時間1秒ではブラウン運動で揺れ動く胞子をうまく撮影できないのでは」という声もあるかもしれません。その問題について考えてみました。

胞子観察の基本は「きのこ雑記」や「気分はきのこ」等に書かれていたと思いますが、やはりカバーグラスに直接胞子を落として検鏡ということではないでしょうか。対物レンズはカバーグラス直下に試料があるとして設計されているそうです。カバーグラスに張り付いた胞子は水封にしてもブラウン運動をおこさず良い状態で撮影できます。

採取したキノコがこのように胞子をすんなり落としてくれればいいのですがイグチの場合、夏場ということもあり途中で腐ってしまうことが多く、仕方なく管孔実質をKOHでばらし胞子を見ることがよくあります。

fig1 fig2 fig3
偏斜気味にセッティング
fig4
カバーグラス直下にあるときちんと輪帯照明ができる
fig5
明視野でもクリア

マウント液中の胞子は低倍率では静止しているように見えても、100倍レンズで見るとやはりこまかく揺れ動き露出時間1秒ではぶれた画像しか得られません(fig1)。そもそもマウント液中の胞子はカバーグラス直下にあるのではなくそれよりもかなり下を浮遊していると考えられますので、たとえ完全に静止したとしても理想の画像は得られないわけです。

また胞子の撮影を輪帯照明でする場合、マウント液中で浮遊する胞子に対してきちんと輪帯照明ができたためしがありません(fig2)(fig3)。おそらくカバーグラス直下になければならないという光学的理由によるものと思われます。

といったことからブラウン運動をおこしている胞子は撮影対象にすべきではないといえるでしょう。視野をちょっと変えてみると、菌糸などの細胞群とカバーグラスにはさまれた胞子が見えます。その胞子はカバーグラス直下にあると判断していいと思いますが、当然ブラウン運動もなくきちんと輪帯照明ができる状態となっていました。(fig4)(fig5)


どうしてもブラウン運動をおこしている胞子や、きのこ以外に例えば動き回るプランクトンを撮りたいということであれば何かしらの対策をとらなくてはならないでしょう。その足がかりになるであろう実験もしてみました。

fig6 fig7 fig8

三眼鏡筒のパーツ接続部に硬めのスポンジを防震材として取り付けてみました。上下の白いパーツは正規の組み合わせでないため内径が異なっておりスポンジから上はスポンジのみを介して本体と接続されている状態です。

fig8は「シャッタースピードによる像質の変化」で最悪の結果だった1/60秒で撮影した物ですがスポンジによる防震が成功し、肉眼で見てもミラーが落ちる振動がかなり軽減されているのを確認できました。こういった防震材をカメラ直下にとりつける工夫をすれば任意のシャッタースピードで撮影可能となるでしょう。


もどる

牛肝菌研究所 by yuichi taneyama










無料カウンター