牛肝菌研究所--TIPS



生け花風標本撮影法

標本撮影を改善しました。従来はfig1のように、黒布に標本を置いての撮影でしたが、fig2のように標本を立てて撮影するようにしました。剣山に花を刺すような感じです。特殊な材料は必要なく、木の板に釘を打ち、そこへ太めの裁縫針を固定するだけです(fig3)。

ベニタケを撮影した画像をFig4に示します。これならば標本を置いて真上から撮影すれば、同じように撮影できそうですが「生け花風標本撮影法」には従来方法では実現不可能な次のようなメリットがあります。

  1. 理想のアングルを模索できる
  2. 理想の照明が可能
  3. 背景がごみで汚れることがない
Fig1
従来の方法
Fig2
生け花風標本撮影法
Fig3
釘に裁縫針を固定

1)理想のアングルを模索できる

標本を置いて撮影する場合、標本の向きが理想の方向で固定できるとは限りませんし、理想を実現するためにはかなりの労力が必要となります。その労力とは例えば「黒いスポンジの破片を標本の下に挟み込みながら標本の向きを調整する」といったことです。

「生け花風標本撮影法」では標本を針に刺して垂直に立ててありますので、ちょっと回転させるだけでアングルの微調整が可能です。Fig5,6に束生した標本の撮影例を示します。「置いて撮影」では実現できないアングルです。

Fig4
ベニタケの一種
Fig5
オオダイアシベニイグチ
Fig6
ヤマイグチ

2)理想の照明が可能

標本を置いて撮影する場合、標本の後方から照明することは不可能です。かさの質感を美しく表現するには斜め上後方からの照明が不可欠です。理想の照明とはこの場合、光源の面積が大きい拡散光を側面から当て、反対側を白レフ板で押さえるといった感じです(Fig7)。さらに標本の手前下にも白レフを置き、斜め上後方からも白レフで光を回します(fig8)。

作例をfig9に示しました。タマゴタケのかさの質感が美しく表現できています。この場合、かさの「やや」光沢をもった質感に対し、白レフを映り込ませている事になります。ぬめりのある質感やビロード状の質感を表現する場合にも威力を発揮します(Fig10,11,12)。

Fig7
照明の基本は拡散光
Fig8
斜め上後方に白レフを
Fig9
タマゴタケ 右上のかさ質感に注目
Fig10
粘性がある質感
Fig11
ビロード状の質感
Fig12
ウスタケ

3)背景がごみで汚れることがない

標本を置いて撮影する場合、その都度黒布を掃除する必要がありなかなか煩わしい作業ですが、「生け花風標本撮影法」では背景にゴミが飛び散ることはあり得ません。

その他の作例を以下に示します。

Fig13
Fig14
Fig15
Fig16
Fig17
Fig18
Fig19
Fig20
Fig21
Fig22
Fig23
Fig24

デメリットは無いのか?

あります。例えば、ぱっと見た目ではしっかりしている標本であっても柄の内部が虫に食われてスカスカになっていることがありますが、こういった場合、針に刺して立てることはできません。また、管孔面や柄表面のアップを撮影する場合、標本を置いて撮影しますが、その都度カメラのセッティングを変更しなくてはなりません。

また、うっかりしていると針が見えているのに気づかない場合があります。上の作例にもいくつか見られますが、ちょっとかっこ悪いですね。

上記のようなデメリットも確かにありますが、明らかにメリットがデメリットを上回っていると判断したので今後はこの手法をメインにしていこうと考えています。

背景に使っている黒布は「ハイミロン」という無反射素材の布です。下記から購入しました。
http://item.rakuten.co.jp/anmakuya/555316/


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