類似標本の比較検討 標本No.BTS-015A,016A,021A PDF版はこちらから bts15a16a21a.pdf 1MB 標本BTS-015A,016A,021Aは茶色を呈した傘をもち、孔口も茶色を呈する大型のイグチである。BTS-015Aは典型的なオオコゲチャイグチと思われるが、対して他2標本がどうなのか検討した。 |
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bts015A | bts016A | bts021A |
典型的な質感。こげ茶、ビロード状の傘。 | 傘は黄色を呈し、平滑。 | 傘色は淡く、平滑からややビロード状。 |
典型的な質感。黄色地にこげ茶の粒点。基部は白い粉状。 | 粒点を不鮮明な網目状に付着する特徴がない。基部は白い粉状。 | 015A に準ずるが、色合いが赤みをおびる。 |
赤茶の孔口、管孔は黄色。 | 茶の孔口、管孔は黄色。 | 孔口、管孔ともに茶色。 |
傘肉のみゆっくり弱く青変。 | 傘肉のみゆっくり弱く青変。 | 傘肉のみゆっくり弱く青変。 |
傘表皮、菌糸が縦方向に集りけばだった感じ。 | 傘表皮、菌糸が複雑に絡み合い所々で団子状に集まる。 | 傘表皮、菌糸が複雑に絡み合う。アンモニアで黒変。 |
柄表皮、ひげ状シスチジアが見られる。 | 柄表皮、大型のシスチジアが密に並ぶ。 | 柄表皮、ひげ状シスチジアが見られる。 |
検鏡図の比較
傘表皮先端細胞:016Aに球形のシスチジアが見られ021Aの菌糸は太さがまちまちで先端のくびれたものが見られる。 側シスチジア:各標本全く異なる。 縁シスチジア:各標本とも類似した形状。大きさは015Aがひとまわり小さい。 柄表皮シスチジア:016A,021Aは類似している。 胆子器:各標本とも類似した形状,大きさ。 胞子:各標本とも類似した形状,大きさ。 021Aは側シスチジアが他と異質で、管孔の色も他と異なる。傘菌糸がアンモニアで変色することが重要視すべき特徴なのかは不明。015A,016Aを比較すると傘表皮、柄表皮の構造、シスチジアに共通点が見いだされない。 以上のことから3標本はそれぞれ別種であると考えられるが、015Aのみ幼菌であるため、成菌の標本との比較が課題となった。
試薬反応比較表 |
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