テレオモルフとアナモルフ

菌学会関東支部年次大会にて講演「多型的生活環をもつ高等菌類における二重命名法と統一命名法の概略と最近の動向」を聴講しました。簡単にいうと「従来、同一種におけるテレオモルフとアナモルフそれぞれに学名を与えることができたが、1種の生物に対して学名が複数存在する(二重命名法)は好ましくない、二重命名法を廃止せよ」という提案に対し、従来のメリット、デメリット、廃止した場合のメリット、デメリットが学界で論じられているという内容でした。

同一種の菌類において有性世代(テレオモルフ)と無性世代(アナモルフ)が存在する場合があり、形態観察のみでは、その種のテレオモルフとアナモルフを結びつけることは困難でしたが、分子系統解析の発達により明らかにされてきているため「二重命名法をやめよう」という動きが出てきたということです。

私の研究対象であるイグチ類は有性世代のみが知られ、無性世代が存在するという話をきいたことがありません。培養実験で無性的に繁殖することが確認されればアナモルフということになるのだと思っていますが、培養実験そのものが困難な菌根菌ではアナモルフのことを気にする必要はないのでしょうか。上記はまちがって理解しているかもしれません。勉強不足です。

余談ですが、イグチ類は人工的に胞子を発芽させることすら困難であると聞いています。菌食性昆虫の体内で刺激を受けることが条件なのか、長い年月を経たのち発芽能力にスイッチが入るのか、仮説は色々あるそうですが、誰も実証していないそうです。



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牛肝菌研究所 by yuichi taneyama










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