マウント液中の胞子は低倍率では静止しているように見えても、100倍レンズで見るとやはりこまかく揺れ動き露出時間1秒ではぶれた画像しか得られません(fig1)。そもそもマウント液中の胞子はカバーグラス直下にあるのではなくそれよりもかなり下を浮遊していると考えられますので、たとえ完全に静止したとしても理想の画像は得られないわけです。
また胞子の撮影を輪帯照明でする場合、マウント液中で浮遊する胞子に対してきちんと輪帯照明ができたためしがありません(fig2)(fig3)。おそらくカバーグラス直下になければならないという光学的理由によるものと思われます。
といったことからブラウン運動をおこしている胞子は撮影対象にすべきではないといえるでしょう。視野をちょっと変えてみると、菌糸などの細胞群とカバーグラスにはさまれた胞子が見えます。その胞子はカバーグラス直下にあると判断していいと思いますが、当然ブラウン運動もなくきちんと輪帯照明ができる状態となっていました。(fig4)(fig5)
どうしてもブラウン運動をおこしている胞子や、きのこ以外に例えば動き回るプランクトンを撮りたいということであれば何かしらの対策をとらなくてはならないでしょう。その足がかりになるであろう実験もしてみました。
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