牛肝菌研究所--TIPS



蛍光灯で撮影した標本写真の色補正

赤いイグチを採集し自宅へ持ち帰ると、なぜか色褪せてしまっていることが、度々、いや、毎回ありました。野外では赤色(fig1)に感じられた標本が持ち帰るとなぜか茶色のように見えるのです(fig2)。これは時間経過と共に標本自体の色が変化してしまうのだと思いこんでいました。

研究室ではまだ外が明るくても、標本撮影や検鏡のためにカーテンを閉め蛍光灯の光で作業していますが、ある時「自然光で見るとどうなのだろう」と窓の近くで見てみると、採集現場で見たままの色が確認できました。fig3は自然光で撮影、fig4は蛍光灯です。また写真撮影用アイランプ(デイライト)で撮影したのがfig5、蛍光灯がfig6です。

Fig1
自然光では子実体全体が赤い。
Fig2
蛍光灯下では茶色いきのこに!
Fig3
自然光で撮影
Fig4
蛍光灯で撮影
Fig5
アイランプで撮影
Fig6
蛍光灯で撮影

fig7と8はカラーチャートをアイランプと蛍光灯で撮影しホワイトバランスを調整した物です。各色の色相を比較すると、色によってばらつきがありますが3度から12度程度ずれています。同様に赤いイグチ標本の赤い部分で比較すると、蛍光灯では10度程度黄色方向に傾いていました。

Fig7
アイランプで撮影
Fig8
蛍光灯で撮影
Fig9
蛍光灯で撮影し補正したもの

すでに蛍光灯で撮影してしまった標本写真の色補正は、ホワイトバランスを調整した後、色相を傾けることが必要といえるでしょう。fig9から11は蛍光灯で撮影し補正をした物です。地味な色合いの標本に於いても、補正した物(fig12右側)のほうが自然な色合いです。

Fig10
蛍光灯で撮影し補正したもの
Fig11
蛍光灯で撮影し補正したもの
Fig12
右が補正したもの

蛍光灯下で赤色が茶色に変わってしまう現象は赤いイグチにおいて顕著で、カラーチャートの赤い顔料ではそれほどの変化は見られないことから、イグチの赤い色素、菌糸構成に特別な性質があるのかもしれません。他の赤いきのこ、ベニテングタケのような種ではどうなのか?今後の課題とします。


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牛肝菌研究所 by yuichi taneyama










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