なんちゃってリアルタイム深度合成
一眼レフカメラによる検鏡写真撮影において、シャッタースピードは1秒がベストであるという結論を得て以来、そのように実践していますが、シャッタースピードを1秒にすることによる強力な副産物が得られました。
検鏡図作成や、組織の大きさ測定は、かつては途方も無い労力を必要とするものでしたが、今やデジタルイメージングの恩恵を受け、手軽に素早く行えるものとなりました。具体的には、検鏡写真を素材にPhotoRulerで胞子の大きさを測定したり、ドローソフトウェアで検鏡図を描くといったことが挙げられます。
しかし、よい被写体に巡り会えなければ、真の効率化は計れません。標本の状態が理想的でない場合、先端から末端までピントが合うようにこちらを向 いていてくれる都合の良いシスチジアや担子器が、大変少ない場合が多々あります。
シスチジアや担子器が、z方向(奥行き方向)に傾いていると被写体の全貌をシャープに映し出すことができません。その場合コンデンサー絞りを絞り、被写界深度を深くすることである程度対応する事ができます。しかし、その方法では、解像感の無い、ぎらぎら、ごちゃごちゃした像しか得られませんし限界もあります。
本来ならばそういった被写体は「撮影しない方針」が正しい選択でしたが、名付けて「なんちゃってリアルタイム深度合成」のテクニックを駆使する事により全面的に問題を解決する事ができました。
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