胞子の形状を確実に把握する方法
覚え書きの「ザ・ローリング・スポーズ」で紹介した動画ですが、どのようにして撮影したのか種明かしをします。
胞子は微細ですので、その観察には通常油浸100倍レンズを使用しますが、マウント液中の胞子がわずかな振動で揺れ動いたり、油浸オイルにカバーグラスが引っ張られて胞子が視野から出ていってしまったりすることは多くの方が体験しているでしょう。この現象は写真撮影の際にはこのうえなくじゃまでよけいなものです。しかし、このじゃまな現象を逆手にとり、マウント液中の胞子を自由自在に回転させることができるのです。
Fig.1
Fig.1に「ザ・ローリング・スポーズ現象」がどのようにして起こっているのかを表しました。ピントを動かす操作をすると対物レンズが上下します。Fig.1のAですね。対物レンズとカバーグラスは油浸オイルを介して、いわば一体となっています。当然カバーグラスも上下します。Fig.1のBです。
Fig.2
この時、胞子はマウント液中を動き回りますが、うまい具合に回転しているものもあります。これを動画で撮影したものがFig.2となります。うまくやれば胞子を思うがままに回転させることができます。最近のデジカメには動画記録できる機能がありますのでぜひトライしてみてください。
通常ならばこれだけの記録ができれば十分でしょう。しかし、私は映像のプロですので、さらにワンランク上の加工を施します。撮影素材の中からもっとも動きの良い胞子を見つけだし、あたかもその場所にとどまって回転しているかのように加工するのです。スタビライズといいます。高価なソフトウェアとノウハウが必要ですので、ここでは詳細は説明しません。
最後に作例をいくつか紹介しますので「ザ・ローリング・スポーズ」を楽しんでいただければ幸いです。
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