サイドビューとフェイスビュー

これまでに「覚え書き:胞子の横断面」「TIPS:胞子測定における胞子の向き」において導いた結論は「胞子の横断面はほぼ真円である」でしたが、それは状況証拠のみを用いて導いた結論でしかないと言えます。やはり数値をもって検証すべきでしょう。つぎの数値は同一の胞子写真を使い、A.無差別に測定、B.サイドビューを測定、C.フェイスビューを測定したものです。

  • A. 11.01±0.74 4.25±0.25μm, Q=2.60±0.16, n=200.
  • B. 11.05±0.67 4.30±0.24μm, Q=2.58±0.15, n=175.
  • C. 11.20±0.79 4.26±0.27μm, Q=2.63±0.16, n=148.

大きさにバラツキがあるのは当然ですが、大きさよりも縦横比(Q値)に注目すべきです。B.サイドビューとC.フェイスビューの差は1.9%程度でした。したがってわずかな差はありますが「胞子の横断面はほぼ真円である」としていいでしょう。

しかし、「サイドビューの測定値でなくてはいかん!」という厳格な立場をとる査読者を想定しなくてはなりません。これまで、A.無差別に測定を採用してきた理由は「サイドビューを選んで撮影すると、大きな見栄えの良い胞子ばかりを撮影してしまう傾向があった」からなのですが、最近は、様々な大きさや向きの胞子をまんべんなく撮影するくせがついてきたので、今後は「サイドビューでの測定」と方針を変更しました。

サイドビューとフェイスビュー


前へもどる次へ
牛肝菌研究所 by yuichi taneyama










無料カウンター