子実体の発育過程に於ける変化

一つの菌についてより深く知るには、子実体の発育過程に於いてどのような変化があるのかを観察することが重要ではないでしょうか。Fig1からFig3はオオダイアシベニイグチの同一子実体を3日連続で撮影した物です。わずか3日の間に柄上部の色が変化しています。とすれば、Fig1よりも幼い状態では柄の赤みがほとんど無いであろうと推測できます。

先日の信州きのこの会採集会で私の手元にとあるイグチが手渡されました。Fig4 誰もわからないので見解を述べろということでした。変色性まで含めた肉眼的特徴を観察し「オオダイアシベニイグチでは?」と判断しましたが、柄が赤くないため賛同する方はいませんでした。しかし実際は柄にかすかな赤みがあり、先に記した子実体の変化から推測するとやはりオオダイアシベニイグチということになります。

その夜、傘表皮のみ検鏡しましたが以前の自身の観察や原記載の記述と符合しています。さらに2日間冷蔵庫に保管した標本を見てみるとやはり柄上部の赤みが強くなっていることが確認できました。Fig5(写真ではわかりにくいかも)

Fig 1 Fig 2 Fig 3
Fig 4 Fig 5


前へもどる次へ
牛肝菌研究所 by yuichi taneyama










無料カウンター