今調べている標本を検鏡中に面白いと思える物が見つかりました。fig1は子実層托実質を構成する菌糸ですが、表面は平滑でなく規則正しくシワ状になっているのが分かります。当初はシワであろう思いましたが、シワにしては法則をもって並んでいるように感じられました。Tylopilus alkarixanthusでは、実質菌糸に「螺旋状に肥厚した細胞壁を持つ特徴がある」とされていますが、それに似たような菌糸の特徴ではないかと思いました。

プレパラート内数カ所でに同じような物が見つかったので、ひょっとしたらこの種の特徴かもしれないと考え、同種であろう他標本を検鏡してみると、やはり同じ物が見つかりました(fig2)。しかし、さらに別の複数標本を見ると不規則なシワのみが有り(fig3)、「これは単なるシワで、たまたまきれいに並んだ物が最初に見つかった」とせざるを得ませんでした。

今まで、子実層托実質を構成する菌糸をよく観察していなかったので、こういった回り道をしなくてはならなかったのでしょう。