謎のきのこ?

先日の信州きのこの会採集会で「イロガワリらしきイグチ」が採集されました。それは下写真と同じ物で、私がイグチ研究にのめり込むきっかけとなったイグチです。しかしこれはイロガワリではありませんでした。地方の図鑑やネット上では、強く青変のち退色という所見からミヤマイロガワリ、管孔が短いからニセアシベニイグチとされているケースも見られます。

私が「採集されたこのイグチはイロガワリではない」とすると、新入会員の方から「では謎のきのこなのでしょうか?」と質問がありました。それに対する返答は「まだ和名も学名もつけられていない種であることが分かっている。*1」です。毎年、各地のコナラ、アカマツ混生林で見かけられ、大型で目立つにも関わらず「名無し」である理由としては下記が挙げられます。

  1. 専門家の数が少なく手が回らない。
  2. 類似種と混同されている。多少、所見が異なっても国内の写真図鑑に掲載された種に当てはめてしまう傾向がある。
  3. アマチュアでもきちんと勉強すれば発表することが可能であることが、あまり知られていない。

名無しのきのこはまだまだ沢山存在します。そこに疑問に思ったきのこがあるのならば、拙くとも記録をきちんと残す。記録の拙さは数を重ねることにより改善されるでしょう。多くの方々がその積み重ねを実践することが「名無しのきのこ撲滅」につながるであろうと考えています。

*1 私個人の範疇では、この種がどんな時期にどんな環境に発生し、肉眼所見と検鏡所見はどんなものであり、類似種とはどこがどう違うのかがほぼ明らかになっています。したがって「謎のきのこ」ではありません。新種なのかというと、すべての文献をあたったわけではないので、どこかに記載されている可能性もあります。



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牛肝菌研究所 by yuichi taneyama










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