シノニムバスターその2

1ヶ月ほど、事故と地震の影響でストップしていた文献調査を再開しています。2月1日に記したシノニムバスターを続けた結果、Index Fungorumに登録されたBoletusと名のつく学名2414のうち、1079が除外されました。文献の異名表とIndex Fungorumのリストが根拠となっています。

さらにIndex Fungorumの記述を追っていくとリストに反映されていないシノニムを見つける事が出来ます。Boletus pellitus (Paulet) Levを調べると面白い事がわかりました。この菌は実はAmanitaだったのです。具体的には下記の通りです。

  • Basionym:基礎異名
    Amanita pellita Paulet ex Bertill., 3: 500 (1866)

  • Homotypic synonyms:同タイプ異名
    Amanita strobiliformis subf. pellita (Paulet ex Bertill.)
       Neville & Poumarat, Docums Mycol. 26(no. 101): 65 (1996)
    Boletus pellitus (Paulet) Lev., Iconogr. Champ. Paulet: 98 (1855)

これを見るとにPauletによりAmanita pellitaと命名されたものがなぜか1855年にBoletusに移されており、1866年にBertillによってAmanitaとして記載され、最近1996年にAmanita strobiliformis subf. pellitaとして分類学的位置が落ち着いた事が分かります。

古くにBoletusとして記載されたものには、所謂サルノコシカケ類に属する硬いきのこやクロカワのように孔口を持つ物があります。これらが孔口を持つという形質からBoletusとされたのは納得できますが、ヒダをもつAmanitaがなぜBoletusとして扱われてしまったのか、なんとも不思議な事です。Pauletの正式な記載を伴わなかった命名が混乱を引き起こしたのかもしれません。



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牛肝菌研究所 by yuichi taneyama










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