真空凍結乾燥

真空凍結乾燥で作製された標本を検討する機会に恵まれました。通常の乾燥標本とは異なり、生の状態に近い姿のまま標本となっています。かさの質感や柄の網目の形態が良い状態で保存されており、生時の姿を容易に想像できる点において、非常に優れているのではないでしょうか(fig.1-2)。

真空凍結乾燥は、生標本を冷凍し真空中で水分を抜く方法と理解していますが、冷凍の段階で細胞壁が壊れてしまい、顕微鏡観察には向かないと思いこんでいました。しかし、実際に顕微鏡で見てみると、組織が皺になっていることが少なく、むしろ生標本を観察している時に近い感覚でした。

管孔実質断面は、生標本のようにもろく、カバーグラスを乗せただけで形が崩れてしまいます(fig.3)。かさ表皮(fig.5)やシスチジア(fig.4)などは、苦もなく明瞭に観察することが出来ました。

自宅で簡易的に凍結乾燥をする方法があるようですので、いつか試してみたいところです。ただいま、コガネタケの子実体を冷凍保存中です。

fig.1 fig.2 fig.3
fig.4 fig.5


前へもどる次へ
牛肝菌研究所 by yuichi taneyama










無料カウンター