続アンモニアの呈色反応3
Fig.1は今シーズン初めて見かけたニガイグチです。肉眼的には傘の色が淡いこと以外は、だいたいオクヤマニガイグチに似ています。ニガイグチの仲間の管孔は、ピンク色を帯びた白色であることが多いのですが、管孔と孔口の色が異なっている(discolorous pore)種もあります。孔口の色はニガイグチモドキは紫色、オクヤマニガイグチは黄色を帯びます。今回取り上げるニガイグチは黄色を帯びています(Fig.2-3)。
さて、このニガイグチには特筆すべき特徴がありました。傘表皮の呈色反応です。まずは、Fig.4の動画から。この動画にはKOHでの反応の様子を収めました。KOHの水滴が傘表皮に触れた瞬間に橙色に変色し、その後徐々に緑色に変化していきます。数分間時間をおくと最終的には赤褐色になります。
Fig.5の動画にはアンモニアでの反応の様子を収めました。まずはアンモニアの蒸気NH3で様子を見ます。なんと、美しい赤色になってしまいました。そして液体NH4OHを滴下すると徐々に黄色に変化していきます。数分間時間をおくと最終的には緑色になります。
上記と同様のテストをオクヤマニガイグチと思われる標本で行いましたが、結果は異なるものでした。このニガイグチはオクヤマニガイグチではないと判断できそうですが、早まってはいけません。ムラサキヤマドリタケのように、同種であっても呈色反応が異なるケースもあるからです。真実を知るためには顕微鏡的データの比較、DNAを用いた比較を行うべきです。
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