クレナイセイタカイグチ
このセイタカイグチを赤くしたようなイグチですが、以下の文献によって日本新産種であると報告されました。
Takahashi H, Degawa Y (2011) Two new species of Agaricales and a new Japanese record for Boletellus betula from Japan. Mycoscience 52: 312-318.
先日、菌類懇話会の例会が山梨県北杜市で行われ、その時にFig.1-2が採集されました。上記の文献では北杜市で採集された標本に基づいて記載されています。
日本で最初にBoletellus betulaと思われるものが見つかったのは熊本県です。そのためヒゴノセイタカイグチという仮の名称で呼ばれていました。懇話会のメンバーから「ヒゴノセイタカイグチのままでよかったんじゃない?」という疑問が投げかけられましたが、これには以下のようなはっきりとした理由があるのだとお話させていただきました。
熊本産のものが確実な標本として残っているのか定かでない、および標本に基づいた詳細な記載がなされていない。
新産種報告では山梨県北杜市産の標本に基づいて記載された。
故に和名に特定の地名に由来する「ヒゴノ」を用いるわけにはいかない。
種小名のbetulaはおそらくカバノキ属 Betula 樹下に発生することから命名されたのではないかと思いますが、日本産のものはミズナラ、アカマツの混成林に発生します。ひょっとしたらDNAを調べれば実は新種だったなんてこともあるかもしれません。
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