オオミノクロアワタケ その3
Fig.1はクロアワタケ(右)とオオミノクロアワタケ(左)の胞子を比較しやすいように並べたものです。パっと見て気がつくことはないでしょうか。どう見ても左の方が胞子の壁が厚いです。測定してみると以下の通りでした。
クロアワタケ
(0.3-) 0.4-0.5 (-0.5) μm, (n = 36, mean width = 0.41 ± 0.04)
(0.3-) 0.4-0.5 (-0.6) μm, (n = 39, mean width = 0.43 ± 0.06)
オオミノクロアワタケ
(0.5-) 0.6-0.7 (-0.8) μm, (n = 43, mean width = 0.65 ± 0.07)
(0.5-) 0.6-0.8 (-0.9) μm, (n = 51, mean width = 0.69 ± 0.08)
数値で見てもオオミノクロアワタケは50%程度厚いことが分かります。それとKOH中での色がやや濃いことが分かります。いかにも偽アミロイド反応をおこしそうな面構えです。そこでMelzer試薬での反応も見てみました。オオミノクロアワタケは強い偽アミロイド(Fig.2)でクロアワタケは非アミロイド(Fig.3)でした。さらに、かさ表皮の切片でMelzer試薬での反応をみると、オオミノクロアワタケは非アミロイド(Fig.4)でクロアワタケは強い偽アミロイド(Fig.5)でした。
同定会場に正確な数値を測定できる顕微鏡が用意されていなくても、クロアワタケとオオミノクロアワタケの識別は以下のポイントを押さえればOKとなります。
子実体の色が濃色ならばオオミノクロアワタケ
胞子は厚壁で偽アミロイドならばオオミノクロアワタケ
かさ表皮および実質は非アミロイドならばオオミノクロアワタケ
上記と逆ならばクロアワタケ
わずか数標本での検討ですので、例外があるかもしれません。
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