厚壁の菌糸?

Fig.1は亜高山帯針葉樹林に発生するアメリカウラベニイロガワリ類似種(その1)の、かさ表皮を構成する菌糸です。なぜ(その1)なのかというと少なくとも3種類存在するからです。パッと見た瞬間「厚壁菌糸だ。この種の特徴に違いない」と思ってしまったのですが、よくよく見るとどうやらそうではないようです。

Fig.2はこれまでに観察したことがある厚壁菌糸で、これを見ると隔壁も厚壁であるとわかりますが、Fig.1では隔壁は厚くないです。またコンゴーレッドで細胞壁が染色されているはずなのですが、どうも細胞壁の外側に透明な物質が付着しているように見えます。そこで油浸100倍でNRSを使ったのがFig.3です。これを見るとやはり細胞壁の外側にゼラチン状の物質が付着しているのだと見て取れます。

たいていのイグチはかさ表皮がびしょぬれになると粘性が認められることが多いのですが、菌糸からゼラチン質を分泌していると考えるのが自然ではないかと思ってます。長時間雨に打たれ続けたかさ表皮では、本来ややビロード状で毛状被の表皮が、ixotrichoderm(毛状被がゼラチン質の中に埋もれている)となってしまった例を見たことがあります。

Fig.1 Fig.2 Fig.3


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牛肝菌研究所 by yuichi taneyama










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