ミヤマイロガワリだった
Fig.1は兼六園に調査に入った石川きのこ会の方から「これがケンロクウラベニイロガワリです」と、2011年8月4日に送られてきた標本です。ひとつだけ様子が違う子実体があったのですが「こういう変異もあるんだ」と思いながら乾燥させて標本庫にしまい込みました。
最近になって改めて写真を見たところ、右から2番目はどうみても別種であることに気がつきました。このような外見の種で思い当たるのはホテイイロガワリ、ミヤマイロガワリあたりなのですが、前者ならば実物を見て間違うはずがないので、まあミヤマイロガワリの典型的でないものだろうと目星をつけて検鏡してみました。
かさ表皮を構成する菌糸は毛状被を形成しており、しばしばシスチジア状に肥大した末端細胞が見られました(Fig.2)。これはミヤマイロガワリの特徴の一つです。かさ実質菌糸は偽アミロイドで(Fig.3)、Hongo & Nagasawa 1980 においてはその形質に触れられていませんでしたが、典型的なミヤマイロガワリでは、やはり偽アミロイドでしたので、Fig.1の右から2番目の子実体はミヤマイロガワリということで良いでしょう。
Hongo T, Nagasawa E, 1980. Notes on some boleti from Tottori. Reports of the Tottori V Mycological Institute 18: 133-141.
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