クレシールブルー

菌類懇話会では様々な試薬を斡旋しており、その中にはクレシールブルーもあります。添付の説明書には「ハラタケ科キヌカラカサタケ連、キツネノカラカサ連の胞子内膜は青、外膜は赤に異性染色する。」とあります。一度だけ胞子が異性染色される標本を見たことがありますが、まあ、イグチでは出番はないのだろうと思っていました。

ここのところ、柄実質菌糸を集中的に見ているのですが、クレシールブルーで面白い染まり方をすることが分かりました。Fig.1-5は柄実質菌糸をクレシールブルーで染めたものです。FIg.1-3はニセアシベニイグチで、細胞の内容物が染まり、細い糸状のものが螺旋状に見られ、あるいは顆粒状に散在している様子が分かります。

Fig.4-5はススケヤマドリタケで、菌糸の中にもう一本菌糸があるかの如く、ひものようなものが見え、別の箇所では顆粒状に散在している様子が見えました。ニセアシベニイグチのように細い螺旋は見られませんでした。ひょっとしたら種によって染まり方のパターンがあるのかもしれません。

Fig.6はアイゾメクロイグチの担子器についた未成熟な胞子ですが、なんと異性染色されています。胞子の外膜が赤紫に、内膜は青に染まっています。イグチ類で異性染色の胞子というのは聞いたことがありません。これももう少し追求してみると面白そうです。

Fig.1 Fig.2 Fig.3
Fig.4 Fig.5 Fig.6


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牛肝菌研究所 by yuichi taneyama










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