胞子壁の測定

Fig.1はきのこ屋さんの間では定番となったソフトウェア「PhotoRuler」の操作画面です。非常に簡単で優れたツールで、きちんと写真を撮りさえすれば胞子壁の厚さといった微少な形質のデータを得ることも簡単になりました(Fig.2)。これまでは「胞子壁の厚さを正確に計るのは困難」とされ、ほとんどの記載文では厚いのか薄いのか程度の記述があるのみでした。

胞子壁測定用の撮影は通常とちょっとだけピントの位置を手前にずらすのがよいことが分かりました。通常の撮影では胞子の輪郭部に合焦しますが、ピントを手前にずらすとFig.3のように壁の部分のコントラストが反転します。くわしい光学的なことはわかりませんが、この反転した部分が壁であると考えています。これが真に正しいかどうかはわかりませんが、重要なのは常に同一の方法で測定することです。微少な形質なので写真の撮影条件がまちまちのまま適当に測定しても、そのたびに異なった結果が得られてしまうでしょう。

胞子壁のデータを沢山取ってみたところ面白いことが明らかになりました。肉眼的、顕微鏡的な特徴にほとんど差がない2つの集団で、胞子壁が厚いのか薄いのかの1点で系統が分岐している例です。明日27日は菌類懇話会のゼミで講義を行いますが、このことについて触れる予定です。

Fig.1 Fig.2 Fig.3


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牛肝菌研究所 by yuichi taneyama










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