今シーズンの総括 2016

地元長野では気候のせいなのか、ある特定の種は多く見られましたが、全体的な種数は例年よりもかなり少なかった感じです。それでも今シーズンは75種180標本を収集することができました。その半数近くは各地におられる協力者の皆様から送付していただいた物です。深く感謝いたします。

FIg. 1-2は宮城県産で1はこれまでに見たアメリカウラベニイロガワリ類似種のどれにも当てはまらないので「ふしぎウラベニ」と呼んでいる物で、この冬には形態と分子についてさらに検討するつもりです。2はアカジコウの仲間で、ネット情報を見ているとどうやら栃木県にも分布しているようです。

Fig.3は山口県産で以前にもいただきましたが非常に珍しい物です。まだ他の地域から見つかったという例はありません。北米産のBoletus rubroflammeusに近いと考えています。系統的にはバライロウラベニイロガワリとともにRubroboletusに所属すると示唆されていますが、この追加標本を加えてさらに解析したいところです。

Fig.1 Fig.2 Fig.3

Fig.4は栃木産でオオウラベニイロガワリと思われます。これまでに収集しオオウラベニイロガワリとしてきたものは、日本菌類誌に記述されたものと胞子の大きさが一致します。

Fig.5-6は、おそらく新菌類図鑑で記述されたアメリカウラベニイロガワリそのもでしょう。基本的に西日本に分布し、一番東は富山県となっています。やはり胞子の大きさは新菌類図鑑に書かれたとおりとなっています。が、西日本には胞子がひとまわり大きく、胞子壁が厚い系統のもが見いだされています。

Fig.4 Fig.5 Fig.6

Fig.7は茨城県産で北米産のBoletus inedulisに近いと考えられます。本種は神奈川県産標本が、菌類懇話会会誌にて報告されています。

Fig.8は北海道産で比較的ムラサキヤマドリタケに近縁と考えられます。なので「村山の叔母」というコードネームで呼ぶことにしました。この仲間は、かさ表面はビロード、フェルト状にはならず、かさの肉が薄く管孔が長い、管孔は成熟すると黄褐色、管孔付近の肉は老成するに従い黄色を呈し、匂いは唾液が乾いた時のような匂い、という共通した特徴をもっています。

Fig.9は鳥取県産で何に近縁なのか全く不明という種です。毎年必ず、今までに見たことがない種が一つは見つかりますが、一体日本産イグチはどのくらいの種数があるのか答えが分かるのは当分先ということになりそうです。

Fig.7 Fig.8 Fig.9


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牛肝菌研究所 by yuichi taneyama










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