Xerocomellus

Xerocomellusとは Sutara (2008) において提唱された属で日本で言うところのアワタケ属の一部が独立したものです。最近の Wu et al. (2014) などの系統解析では、やはりアワタケ属とされていたものは多系統であることが示されています。

Fig. 1は標高1000m程度のドイツトウヒ樹下に発生したものですが、孔口が赤く(Fig.3)、柄の赤い細粒点の特徴(Fig.2)、肉の青変性(Fig.6)といった特徴から、アメリカウラベニイロガワリあるいはオオウラベニイロガワリなどに近い種であるように見えます。若干の疑問もあり、妙に小型(かさ径3cm)で、柄の基部にあるBasal tomentumがあまり毛羽立っていない点などです。

実はこのイグチ、Xerocomellusであろうことが判明しました。かさ表皮の菌糸構造はアワタケの仲間によく見られるタイプで、DNAでの検討結果もXerocomellusであるということが示唆されています。XerocomusにもXerocomellusにも孔口が赤いdiscolorousの種はまだ知られていないようですので、ちょっとした発見かもしれません。

引用文献
Wu G, Feng B, Xu J, Zhu XT, Li YC, Zeng NK, Hosen MI, Yang ZL(2014)Molecular phylogenetic analyses redefine sevenmajor clades and reveal 22 new generic clades in the fungal family Boletaceae. Fungal Divers 69:93-115
Sutara J. (2008): Xerocomus s. l. in the light of the present state of knowledge. Czech Mycol. 60(1): 29-62.

Fig.1 Fig.2 Fig.3
Fig.4 Fig.5 Fig.6


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牛肝菌研究所 by yuichi taneyama










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