菌類研究が実生活に役立った

日本全体を揺るがす大災害の真っ最中ですが、実は個人(当研究所調査員)に降りかかった災いの解決もしなくてはならない状況におかれていました。具体的には交通事故で追突されたのです。

車両修理費が車両時価額を大幅に上回る経済的全損とされるケースで、被害者側の保険会社が表立って交渉にのりださない事情があり、交渉はすべて自身で行わなくてはならない状況だったのです。示談交渉の争点は「車両の時価額」となっており相手側保険会社のアジャスターに対し「いかに論理的で根拠のある主張を行えるか」がポイントとなります。主張の裏付けとなる資料の作成は以下の要領で行いました。それは菌類を調べ報告論文を執筆する過程と同じようなものでした。

  1. 標本収集{事故車と同車種、同年式の中古車販売価格を収集}
  2. データセット作成{走行距離数で、絞り込み条件を複数設定}
  3. 統計処理{平均値と標準偏差を求める}
  4. 複数のデータセットの中から妥当と思われるデータを選定
  5. 特別な事情を考察{重要部品を新品交換済みの車両であった}
  6. 結論{平均値+標準偏差が妥当な時価額である}
  7. 車両取得にかかる経費を算出{見積もりを取る}
  8. 文献収集{車両取得にかかる経費が賠償額として認められた判例}
  9. 損害賠償額を決定{時価額+車両取得経費}

アジャスターが当初提示した数値はN=3の平均値のみで当方の想定を大幅に下回るものでした。しかし、上記要領で作成した資料を元に損害賠償額を主張したところ、あっさりと認められました。アジャスター曰く「このまま社内での報告書に使える」とのことです。菌類研究を通して得られたノウハウが実生活で効力を発揮したと言えるでしょう。



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牛肝菌研究所 by yuichi taneyama










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