形態とDNA

従来、○○という種と同定されてきた菌を分子系統解析を用いて調べたところ、何種類かに分類することができた、といった話は近年よく聞かれます。アマチュアの間では、詳細で正確な分類をするためには分子系統解析が不可欠で、それは自身の手に負えるものではないといった認識が一般的なのだろうと思います。

しかし、形態による詳細な分類はどこまで可能なのだろうか、といったアプローチはまだまだ有効であると考えます。これまで重視されていなかった形質の詳細なデータを元に検討していけば、分子系統解析にほぼ近い結果が得られるのではないかと思っていたら、先日の菌類懇話会のゼミでは、まさしくそれを裏付ける研究結果の報告がありました。

とある種とされていた菌が分子系統解析により複数のクレードに分類でき、それらの形態を詳細に検討した結果、形態による分類は分子系統解析と同一の結果をもたらすことが可能であるとされていました。完全に見分けがつかない隠蔽種が存在した場合は、必ずしもあてはまらないような気もしますが、有意義な研究であると思います。

今後取り組んでいきたいのは、形態による詳細な分類を試みたのち、その結果を分子系統解析で検証するといったことですがどうなることやらです。

Fig.1


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牛肝菌研究所 by yuichi taneyama










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