濃い色素を持った菌糸のメルツァー反応
イグチでは見かけませんが、分類群によっては肉を構成する菌糸内部に濃い色素を持つものが見られます。FIg.1はとある種の柄の断面で3%KOHで封入したものです。メルツァー試薬での反応をみる際には一般的に次の方法が用いられます。
- 乾燥標本に70%エタノールを染みこませ気泡を除去する。
- アンモニアを一滴追加し5分ほど放置する。
- 余分な水分を濾紙にすわせて除去する。
- メルツァーを加える。
この方法で見たものがFig.2です。この画像だけ見れば偽アミロイドのように見えますが、もともと赤い色素を持つ菌糸なので、3%KOHで封入したFig.1との違いがよく分からず、正確な判断ができません。そこで、以下の方法でやってみました。
- 乾燥標本に70%エタノールを染みこませ気泡を除去する。
- 30%KOHを一滴追加し、柄付き針と小筆で色素を洗い流す。
- KOHを濾紙にすわせて除去する。
- 蒸留水を加えてKOHを洗い流す。
- メルツァーを加える。
Fig.3は、上記手順4まで行った状態です。アンモニアでは除去できなかった赤い色素がほとんど無くなっています。ここへメルツァーを加えると、明らかな偽アミロイドを確認することができました(Fig.4)。
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